産業用ドローン 株価は逆風 ACSL

産業用ドローン 株価は逆風 ACSL

21日に東証マザーズに上場した産業用ドローン開発の自律制御システム研究所(ACSL、千葉市)が、市場評価の逆風にさらされている。ご祝儀相場が一般的な上場日の終値は2623円と公開価格(3400円)を23%下回った。市場が全面安となった25日の株価はさらに7%下げ、2428円で取引を終えた。ドローン産業の理解浸透が個人投資家に広がっていないなど、順調な離陸とはいかなかった。
「今の市場環境は予想していなかった。ドローン産業の説明や、業績を上げることで投資家の理解を求めていく」。21日、東京証券取引所で会見した太田裕朗社長は上場初日の感想を述べた。
ACSLは2013年、千葉大学で教授を務めていた野波健蔵会長が設立した大学発スタートアップ。研究室で20年以上かけて培ってきた技術をもとにした、操縦者の介入が不要なドローンの自動制御技術が強みだ。地下など全地球測位システム(GPS)が使えない環境で飛ばせるドローンも商用化している。
足元では橋や化学プラントなどの点検で負担が重い作業をドローンで代替する案件が増えているという。物流分野では、楽天や日本郵便との共同実証に機体やシステムを提供する。「人手不足が深刻な日本では、インフラ点検や物流で業務を自動化できるドローンが求められている」(太田社長)。機体の売り切りではなく、顧客の業務ごとに作り込んだ制御システムを一体で提供し、長期契約で稼ぐビジネスモデルを想定している。
だが個人投資家が多い新興市場では十分理解されていないようだ。ドローンは趣味のイメージがまだ強く、中国ドローンメーカーDJIが世界で独り勝ちの状態だ。太田社長は「我々はコントローラーで操作する空撮用ドローンとは別の市場を取りに行く」と違いを強調した。
国内では過疎地での配送を想定し、人の目が届きにくい場所でのドローン飛行に関する規制が秋に緩和された。インフラ点検の潜在市場は1兆円ともされ、関連企業による実証の動きは活発になっている。実験でなく事業に活用してもらえるように、ドローンの社会実装を進めていく方針だ。
19年3月期の最終損益は1億5000万円の赤字を見込む。「技術は一通り確立しており、顧客から引き合いも強い。売り上げ拡大によって損失を圧縮していく」(太田社長)。今期の売上高は前期比2.2倍の8億300万円を計画している。
投資が先行するスタートアップでは一定の赤字も経営戦略の一つだが、投資家は黒字化の時期に高い関心を持っている。市場の評価を得るには、導入実績と業績を着実にあげていくしかない。経営が安定飛行するには、もう少し時間がかかりそうだ。

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