小型の無人飛行機「ドローン」が活躍

小型の無人飛行機「ドローン」が活躍

小型の無人飛行機「ドローン」が活躍しているわ。カメラを付けて空撮(さつ)したり荷物の宅配に活用しようとしたり。産業用に注目されているよ。
何年か前、首相官邸(てい)に墜(つい)落して大騒(さわ)ぎになった物体だよね。危ないといわれていたけど性能が良くなったのかな。飛ばすルールはあるの?
イチ子 まずドローンをどう定義するかについて説明するわね。形についてだけど、よく知られているドローンは複数のプロペラが付いた機種で「マルチコプター」というの。サイズは手のひらサイズから、大きいものでは本体の大きさが2メートルほどあるのよ。
からすけ お父さんが子供の頃に夢中だった無線操(そう)縦(じゅう)ヘリもドローンなんだね。
イチ子 いいところを突いているけど違(ちが)うの。遠隔(かく)操作ができ、さらに操作しなくても自動飛行する、この2つを備えているのがドローンよ。無線操縦ヘリはコントローラー(送信機)で遠隔操作できるけど自動飛行できないわ。
からすけ どうやって自動飛行するのかな。
イチ子 ドローンで使うコントローラーは、目的地や飛ばしたい空域(いき)をプログラミングできるのよ。その情報を無線送信し、ドローンの受信機がキャッチして自動飛行するの。さらに全地球測位システム(GPS、キーワード)の電波を受信し、ドローンが自身の飛行位置を割り出して目的地に大きな誤差がなくたどりつくのね。
からすけ それはすごい。
イチ子 もともとは偵(てい)察など軍事目的に開発されたものよ。今、注目されているのは民間需(じゅ)要だわ。個人が趣(しゅ)味として楽しむ娯(ご)楽と産業向けのことよ。
米国の調査会社によると世界のドローン市場の規模は2015年、120億ドル(1・3兆円)。これが20年には228億ドル(2・6兆円)と倍増すると予想しているわ。民間需要で市場が拡大すると分析しているのね。ドローンの価格が下がり、バッテリーやGPS機器などの電子部品が量産できるようになったことが背景にあるそうよ。
からすけ どんな産業に使われているのかな。
イチ子 よく知られているのが映画やテレビの空撮映像よ。ドローンは空中で停止したり速度を自在に変えたりすることができるので、カメラを搭(とう)載(さい)すれば撮影する人が飛行機やヘリコプターに乗らなくても、手軽に思った通りの映像が撮れるのね。災害現場や土木建築といった危険が伴う場所での撮影でも活躍しているのよ。
からすけ 他の使い方は?
イチ子 農業でも活用しているわ。ドローンで作物の育ち具合を広範(はん)囲(い)で確認したり、農薬を田んぼや畑に安全に散布したりするの。日本の農家は高齢(れい)化が進み人手も不足しているから期待も高いわ。11月には、ビジネスチャンスが十分にあると農薬を販売する外国の会社が日本での事業化を決めたのよ。
からすけ なるほど。
イチ子 荷物を運ぶ物流産業でも、将来をにらんで実験が盛んだわ。インターネット通販の米アマゾン・ドット・コムは配達時間が30分の圏(けん)内でドローンを使って届(とど)ける実験を世界各地で行っているのね。
からすけ 僕の家にもドローンが飛んでこないかな。
イチ子 紙飛行機ではないからそう簡単にはいかないわ。万が一墜(つい)落したら事故につながる恐れがあるから。15年12月に、日本でドローンをどのように飛ばしていいか法律で定められたわ。その年の4月、首相官邸屋上に落下し、あわてて航空法という法律を改正したの。この改正航空法(キーワード)が日本で初めてできたドローンに関するルールよ。
からすけ どんなルール?
イチ子 重さが200グラムを超えるドローンは、旅客機が飛ぶ150メートル以上の空域や空港の周辺、人が多く住むところはダメといった飛行禁止エリアを定めたの。禁止エリアで飛ばしたい場合は、操縦技能が優れていたり航空法に詳(くわ)しかったりする人に限って国が許可するの。
ちなみに趣味で使うことの多い重さが200グラム以下のドローンはこのルールは当てはまらないわ。あなたが操縦してもいいのよ。もちろん安全対策は欠かせないし、かなり勉強しないと思うように飛ばないからね。
からすけ 面白そうだな。勉強頑(がん)張るぞ。
イチ子 ルール作りと製品開発では海外が進んでいるわ。マルチコプターは中国のベンチャー企業であるDJIが世界最大手よ。米国は17年、自治体ごとにルールを作れるよう規制緩(かん)和したわ。日本は9月、操縦する人が目で確認できない範囲に飛ばす「目視外飛行」ができるよう航空法を改めたの。まず、日本郵便が福島で19年3月まで物流に使うわ。ドローンは「空の産業革命」といわれているの。日本はもっと勉強しないと取り残されるかもしれないわね。
灘中学校・高等学校の藪本勝治先生の話 平安時代に、仙(せん)人が強欲な長者を見かねて、倉ごと財産を取り上げて懲(こ)らしめたという「飛倉伝説」があります。
「信(し)貴(ぎ)山(さん)縁(えん)起(ぎ)絵巻」に描(えが)かれた話ですが、その絵巻をよく見ると、飛んでゆく倉の下に小さな円盤(ばん)が描かれています。これは仙人が托(たく)鉢(はつ)に使う鉢です。古来、仙人は鉢(はち)を飛ばして物を運んでいたと考えられていました。
托鉢は、僧(そう)侶(りょ)に食物を提供する「喜(き)捨(しゃ)」という形で、人々に善(ぜん)行(こう)を積む機会を与えるものです。あくまで、誰かを幸せにするための修行。決して、私利私欲のための行いではありません。
さて、話題のドローン。語源はミツバチの羽音を表す英語です。現代の「空飛ぶハチ」は、善意の仙人の力で飛ばすわけではありませんが、ミツバチが蜜や花粉を運び次世代を育むように、人々に幸せを運んでほしいものです。
人工衛(えい)星からの電波を受信して地上や空中での現在地を割り出す仕組み。電子機器などに搭載されスマートフォン(スマホ)の地図案内や自動車のカーナビゲーションに活用されている。日本版のGPSは「準天頂衛星」と呼ぶ人工衛星の測位情報を使う。
ドローンを「飛行機、回転翼航空機、滑(かっ)空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの」と定義。飛ばせる場所でも日中のみとし、多数の人が集まる催(もよお)しの上空はダメといったルールも設けた。

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