農業商社のコハタ ドローン事業の育成模索

農業商社のコハタ ドローン事業の育成模索

コハタ(北海道旭川市)は農薬や農業資材を販売する専門商社だ。農家が生産過程で直面する悩みに耳を傾け「かかりつけ医」のような役割も担う。減反廃止や環太平洋経済連携協定(TPP)など環境は激変している。技術革新を取り入れた「スマート農業」の流れに乗り、小型無人機(ドローン)事業を経営の柱に育てようと模索している。
厳しい自然環境に経営が左右される農家に対し殺虫剤、除草剤のような消耗品から積雪に耐えうるビニールハウスや無人ヘリコプターのような大型商材まで販売している。コハタの営業スタッフは約80人。全道をくまなく飛び回り、技術指導などを通じて農家の懐に入り込む。どんな悩みや不安を抱えているのか聞き出して、次の取引につなげていく。
1924年、旭川市内で「コハタ薬房」として創業。戦後は農薬販売を手掛けて事業を拡大した。現在の木幡光範社長は4代目。「地震や台風など自然災害が相次ぐが、食料生産の重要性は増す一方で、農業は今後も発展産業だ」と力を込める。TPPなど海外との取引ルールの変更や国内規制の緩和などで農業を取り巻く環境は激変しているが、農家の経営体力を強くし稼げるよう後方支援に活路を見いだす。
産業への応用が急速に進むドローンは、コハタが3年前から稼ぎ頭に育成している有望分野だ。メーカー世界最大手、中国のDJIの販売代理店になっているほか、営業所がある北海道と東北3県では教習所を展開、農薬の散布も請け負う。長く無人ヘリコプターを扱ってきたノウハウがここにきて生きている。
ドローンを操縦し農薬を散布するには、免許が必要だ。コハタは計12人の教官を抱え、農家に知識と操縦スキルを伝授。教習料22万円、5日で産業用免許を取得できるようにする。整備士も10人いて、受講から購入、整備まで一貫してサービスを提供できるのが強みだ。
無人ヘリコプター1機の価格は平均1500万円以上なのに対しドローンは200万円程度。10キロの農薬、肥料を積み最大で20分の飛行が可能だ。人手不足に悩む農家にはもってこいの助っ人となる。
コハタにとって「ドローンによる農薬散布は入り口にすぎない」(木幡社長)。生育のデータ管理や病害虫のチェック、土地・建物の測量などへの応用をにらむ。ドローン関連の売上高は現在全体の1割に満たないが、今後大きく飛躍できる分野と見る。
主力の農業・農業資材部門の売上高は微増で推移している。農家にも競争原理の波が押し寄せる中、独自の販売網や営業ノウハウ、品ぞろえの強化などで今後もゆるやかな成長は可能とみる。とはいえ人口減少が急速に進む北海道で、農地面積が大幅に増える見込みはない。農家のスマート農業化を後押しすることが重要で、ドローンはその足がかりになると期待している。

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