農業用ドローンで反攻 ヤマハ発 シェア5割目標 特約店や提携先販路活用

農業用ドローンで反攻 ヤマハ発 シェア5割目標 特約店や提携先販路活用

ヤマハ発動機が農業用ドローン(小型無人機)で反転攻勢に打って出る。ガソリンエンジンの無人ヘリコプターで国内市場を独占しているが、ここ数年で急速に立ち上がった電動のドローンでは出遅れた。操縦の教育体制を整えるなどして、2019年春からの稲作シーズンで巻き返しを狙う。
「市場の半分は取れると思うし、取らないといけない。最低でもシェア5割を目指す」。ヤマハ発の中村克UMS統括部長は水田の農薬散布に使うドローン「YMR―08」の19年の販売目標を語る。
18年6月から価格275万円程度で試験販売する予定だったが、仕様変更が発生したため、一般販売を見送った経緯がある。仕切り直しのため、今秋から全国19社の特約店を通じて操縦教育プログラムを充実させ、来春の本格販売に備える。
農林水産省系の農林水産航空協会(東京・千代田)に登録する農業用ドローンは18年9月末時点で1349機。1年前に比べ2倍強、2年前の15倍と急拡大している。存在感を示しているのが中国のドローン大手、DJIだ。操作のしやすさと割安な価格で一気にシェアを握った。
ヤマハ発が出遅れた理由の一つがガソリンエンジンの無人ヘリとのすみ分けの問題だ。1987年から手掛ける無人ヘリは国内市場を独占し、年間250機ほど販売している。価格が1000万円超と高額なため、販売先は農協などに限られるが、国内の水田の4割で同社の無人ヘリが農薬を散布している。
安価なドローンと需要を食い合う懸念があったが、中村統括部長は「無人ヘリの農薬散布面積は増えている」と語る。農家でも購入できるドローンは従来の人手による散布の代替需要などを掘り起こしている。
ヤマハ発は今後、無人ヘリで築いた特約店網のほか、農薬散布技術を得るために提携した中堅農機メーカーのやまびこ(東京都青梅市)の販路も使い、ドローンを売り込む。通常は6枚の羽根を8枚に増やし、農薬を吹き付ける気流を生むなどの性能をアピールする。
一方、無人ヘリでは「サービス化をさらに進める」(中村統括部長)方針だ。農協職員ら顧客による操縦が徐々に減り、特約店が農薬散布を請け負うケースが増えている。今後は特約店の事業を安定させるため、電力会社から山間部の送電線工事の資材運搬を請け負うといった農閑期のサービスも手厚くする。九州電力と実証実験を済ませており、他の電力会社にも売り込む。
ヤマハ発は年間50億円規模の農業用無人ヘリ事業を100億円に拡大する方針を掲げる。海外では韓国の水田と米カリフォルニア州のブドウ畑でも需要を開拓。IT(情報技術)大手の米エヌビディアと提携し、人工知能(AI)を使った農業用無人車両の開発も進める。成長分野と見据える農業関連事業を強化するため、ドローンでは負けられない戦いが始まる。

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