測量にレーザースキャナー威力

建設工事に伴う測量の主役が近い将来、交代しそうだ。地上で1点ごとの距離を測るトータルステーション(TS)に代わり、ドローン(小型無人機)などを使って広範囲の面的な形状をとらえるレーザースキャナーが主役になる。建設コンサルタント会社大手のパシフィックコンサルタンツは両者の実力を独自に検証。様々なレーザースキャナーを駆使し、高精度な地形データをTSの半分以下の日数で取得した。
愛知県道路公社が2021年3月までの完成を目指す南知多道路の武豊北インターチェンジ(IC、仮称)。その建設予定地に、レーザースキャナーを搭載したドローン(レーザードローン)が運び込まれた。
レーザードローンは樹木に覆われた地形を効率的に計測できる注目の測量技術だ。ところが、設計前の調査測量での採用例はまだ少ない。国土交通省が起工測量や出来形計測での活用を推進した結果、施工段階になって初めて導入を検討する現場が多いからだ。
そこで、武豊北ICの設計を担当するパシフィックコンサルタンツは、レーザードローンで得られる3次元点群データの設計における実用性の検証に踏み切った。計測リサーチコンサルタント(広島市)に3次元測量の協力を依頼し、先行して実施したTS測量と徹底比較した。

「TSよりもずっと短い期間で、詳細設計でも十分使える精度のデータを得られることが分かった」。パシフィックコンサルタンツ中部支社交通基盤事業部の金子雅明部長は検証結果をこう説明する。
例えば、山林を造成して施工するランプ(連結)部の切り出し土量計算。従来の積算基準に従い、TS測量の結果から平均断面法で計算した土量は7万8000立方メートル。一方、レーザードローンで取得した3次元点群データで計算した土量は8万4000立方メートルで、6000立方メートルの差が出た。
今回の計測でレーザードローンは1平方メートル当たり平均100点以上の座標点を取得している。細かな凹凸を計算に反映したことで、より実態に近い土量をはじき出したみられる。
TSで測る「点」の密度を上げれば、精緻な地形情報は得られる。2次元図面と各点の高さ情報から3次元モデルを作成することも可能だ。

ただし、効率で比べればレーザードローンの圧勝。データ処理まで含め、TSの半分以下の人工(にんく)で済んだ。計測にかかった費用は同程度。高額なスキャナーの使用による増額分は、測量作業の人件費が下がった分でカバーできた。
一方、構造物の陰となっている場所や地面に垂直な断面などは、上空からレーザーを照射するドローンでは計測できない。
そこで、ドローンのほかに地上型レーザースキャナー、モービル・マッピング・システム(MMS)、モバイルレーザースキャナーの3種を用意。ドローンで測りにくい箇所を、それぞれの得意分野に応じて振り分けた。
例えば、既設道路の路面はMMSで計測。ドローンは墜落の恐れがあるため供用中の道路の直上を飛ばすことができないうえ、黒色の舗装面はレーザーを反射しにくく、精緻なデータが取りにくいからだ。
それぞれのスキャナーで得られたデータは、位置情報や基準点に基づいて1つのデータに統合。工事の計画範囲を丸ごと、3次元点群データで再現できた。従来は計測漏れがあれば現地に見に行かざるを得なかったところを、パソコンの画面上で細部まで確認できる。

集めた3次元点群データの活用場面は、設計だけにとどまらない。南知多道路の維持管理を担当する愛知道路コンセッション道路運用部維持管理グループの中島良光グループ長は、「データを引き継いで、施工や維持管理にも使っていく検討を進めている」と明かす。
計測リサーチコンサルタントクリエイティブ事業部の西村正三部長は、「位置合わせ用の基準点の測量など、TSが必要な場面はまだあるものの、スキャナーの活用場面は確実に増えてきている」と話す。比較的安価なものや使い勝手の良いものなど、製品の幅が広がったこともその一因だ。
建設会社からの注目も大きい。大林組はある現場の起工測量で、レーザースキャナーによって人工を約8割削減できた。
大林組生産技術本部先端技術企画部の杉浦伸哉技術第二課長は「働き方改革を進めているなか、いかに短い時間で効果を上げるかという観点からも、レーザースキャナーを使わない手はない」と期待を込める。

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