避難情報どう届ける? ドローン、自販機も活用

大災害時、住民の安全を守るために欠かせないのが正確な情報伝達。過去の災害では避難指示がうまく伝わらず、被害が拡大したケースも少なくない。教訓を生かそうと避難の緊急性を効果的に伝える研究が各地で始まっている。9月1日は「防災の日」。自治体や民間の取り組みを追った。
「ここは遊泳禁止地区です。水難事故防止のため、泳ぐのは禁止されています。速やかに移動をお願いします」。8月下旬の和歌山県白浜町。上空100メートルを飛ぶドローンから、水難事故の危険区域からの移動を促す日本語、英語、韓国語の放送が流れた。
民間企業「クオリティソフト」(和歌山県白浜町)が開発中の「アナウンサードローン」。パソコンに文章を入力すると人工知能(AI)が音声化し、上空からスピーカーで放送する。音声化と同時に外国語に翻訳することができる。対応する言語は25カ国語に上るという。この日の実験ではドローンの飛行音に邪魔されることもなく、放送が明瞭に聞き取れた。
同社の東裕也さん(39)は開発の狙いについて「ドローンを活用すれば、人間が立ち入れない災害現場でもカメラで現場の様子を確認しながら避難誘導できる」と指摘。近日中の販売を目指して実証実験を重ねている。
モーターを防水加工するだけで倍のコストがかかるなど、大雨や暴風時の活用には課題もある。自治体などから発注があれば、対応できる機体の開発を検討するという。
7月の西日本豪雨では避難情報をいかに効果的に住民に伝えるかが、大きな課題として浮き彫りになった。ダムの放水を知らせる防災無線が雨の音でかき消されたり、行政が防災メールを配信しなかったりするなど、避難指示がうまく伝わらない事態が発生した。
京都市では断続的な大雨で鴨川が増水。避難勧告などの対象者は100万人に及んだが、エリアメールの配信には2時間以上を要した。文字数制限があるため、複数回に分けて配信する必要があり、市職員が手入力する作業に時間がかかった。
こうした問題を受けて、京都府は8月、11市町の防災担当者を集めて2回にわたり会合を開催。特別警報が出たら直ちに避難指示を発令する、危険を想起させるよう文言を工夫する――などの対策をまとめた。京都市防災危機管理室は「危機感は共有できた。これから具体策を考えたい」と力を込めた。
民間のコミュニティーFMが、街角のあちらこちらにある自動販売機を避難情報の周知に活用する試みもある。飲料メーカーと協力して自販機に防災ラジオを備え付け、災害時には行政からの避難情報などを流し、住民に危機感を伝える。
三重県鈴鹿市のラジオ局「鈴鹿メディアパーク」が2017年2月に導入したのがきっかけ。8月現在で全国17局がラジオ付き自販機を利用しているという。避難対象者や避難先など地域に密着した細やかな情報を伝えられるのがコミュニティーFMの利点だ。鈴鹿メディアパークの瓦谷理局長は「防災ラジオ付きの自販機を全国に広め、市民の防災に寄与したい」と話す。

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